珠城りょう 1stCONCERT
CUORE
INTRODUCTIONはじめに
2021年8月、宝塚歌劇団を卒業した珠城りょう。
温かみのある声、知性の光る艶やかさを強みに、トップスターとして
月組を牽引してきた彼女の記念すべきソロコンサート。
バラエティ豊かなメンバーと共に、スピード感溢れるダンサブルなステージをお届けいたします。
今回は新しい一歩を踏み出す珠城りょうさんに、コンサートへの意気込みや想い、今後の活動についてなどを伺いました。
INTERVIEW 珠城りょうさんインタビュー
コンサートのタイトルにも「CUORE(心)」と
初めてのコンサートへの意気込みを聞かせてください。
自分がコンサートをさせていただけるということが、正直まだピンと来ていなくて…今でも不思議な気持ちです。でも、新しいことに挑戦できる喜びを打ち合わせ段階から感じています。とても楽しみにしてくださっているファンの皆様に、新しい珠城りょうの姿をお見せしたいですし、皆様と同じ空間で一緒に楽しみたいと思います。
タイトル「CUORE」に込められた意味は?
私は何故かイタリア語の響きが好きで、在団中に宝塚バウホールでさせていただいたライブのタイトルも「Eternità」(イタリア語で「永遠」の意味)と付けたぐらいでした。ですから、今回もイタリア語で何かいい言葉はないかと探していて、見つけたのが「心」を意味する「CUORE」という言葉です。これまでも何かを表現するときには常に「心」を大切にしてきましたから、初コンサートのタイトルにも相応しいと思って提案させていただきました。
ポスターでは青いカラーコンタクトをされるなど、ビジュアル面でも新しい挑戦を感じるのですが、撮影時のエピソードはありますか?
コンサートのコンセプトである「新しい世界に飛び出す」という意味を込めて、ポスターのビジュアルもちょっと想像を超えるような近未来的なイメージを狙っています。青いカラーコンタクトも「近未来感が出るのでは」というご提案をいただき、つけてみました。
ダンサブルなコンサートになるとお聞きしましたが?
もともと私はシンガーではないので、歌を聴かせるというよりは、歌や踊りを通じてメッセージを表現していく方が自分に合っていると思いました。演出の川崎悦子先生からは「珠城さんが持っているダイナミックな雰囲気を活かしたい」と言っていただいているので、そういうダンサブルなコンサートにしつつ、そこにちょっとしたストーリーが入ってくるかも知れません。
「この曲は歌いたかった!」という楽曲は?
在団中にカバーしてCDリリースしたOfficial髭男dismの「Amazing」ですね。「是非、生の舞台で」との声をたくさんいただいたので、今回のコンサートで初披露させていただきます。
あとは宝塚の楽曲もいくつか。自分が過去作品で歌った曲は在団中のライブとサヨナラショーで歌わせてもらったので、今回はそれ以外で、「こういう役が見たかった」という皆様の声の中からチョイスした曲を選びました。
演出を担当される川崎悦子先生については?
宝塚でも振付をされていて、ずっと一緒にお仕事をしたかったのですが、在団中にはご縁がなくて。川崎先生が振付に携わっておられる劇団☆新感線は私も大好きですし、今回は私にとって新たな挑戦の舞台ですから、さまざまなジャンルで活躍されている川崎先生に是非お願いしたいとお伝えしました。
彩凪翔・愛月ひかるとの共演
スペシャルゲストとして大阪では彩凪翔さん、東京では愛月ひかるさんが参加されます。このお二人を選ばれたのは何故でしょう?
愛月さんは1期上で、下級生時代から食事に行って男役のこと、お芝居のことを熱く語り合っていましたし、彩凪さんとも、何がきっかけだったか、もはや思い出せないくらい(笑)、気付いたらよくお話するようになっていました。
お二方ともプライドを持って舞台に立っておられる姿が純粋にカッコいいなと感じていて、公演を見に行ったときに感想を言い合うことありました。そんな中で「いつか一緒に舞台に立ちたいね」と話していたのですが、組が違うとなかなか機会もなく、コロナ禍でタカラヅカスペシャルもできないまま卒業してしまったので、それならば退団後のこのコンサートでそれを実現できたらと思ったのです。
以前、『宝塚グラフ』2013年12月号で初めて表紙に載ったとき、彩凪さん、愛月さんもご一緒でした。さらに真風さんと芹香さん。あのときの5人の心の中に「これからみんなで宝塚を盛り上げるために頑張ろう!」という共通の思いがあったような気がして、それ以来、お互いのことを強く意識するようになったこともあると思います。
同期の風馬翔さんもご出演されます。
昨年、望海風斗さんがコンサートをされたとき、同期の方とご一緒だったのがとても心強かったとお聞きし、それならばと、在団中から縁の深かった風馬翔にオファーさせてもらいました。やはり心強く感じています。
上口耕平さんの出演については?
歌にもダンスにも長けていて、色々な舞台で活躍されている方なので、ご一緒するのが純粋にとても楽しみです。上口さんに頼らせていただきつつ、私も新たな一面をお見せしていきたいな、と思っています。
でも、今は穏やかに、ゆっくりのんびりと
コンサートに向けて、どんな準備をされていますか?
今年に入ってから、個人的にボイストレーニングに通っています。宝塚時代に比べると運動量が激減したので、今の生活リズムに合わせた形でいい体型を維持していけるよう、トレーニングをしたり食事を工夫したりしています。男役のときは日々激しく踊ってリフトなどもするので、エネルギーをすごく消費するし筋肉も酷使していました。でも、これから女優としてステージに立つときには、また違う部分を使うことになると思うので、そのための体質改善に努めています。
男役時代とは日々の生活も変わりましたか?
まったく違いますね。男役だからというより在団していた時はとにかく時間が足りなくて、やるべきことをこなしていくだけで精一杯。幸せな事とわかっていても、毎日生きていくことに必死でした(笑)。でも、今は穏やかに、ゆっくりのんびり生活しています。
食事を意識されているとのことですが、料理もされますか?
以前より作る機会が増えて、ちょくちょくやっています。野菜とタンパク質多めの食事を心がけています。
得意料理はありますか?
在団中から変わってないのですが、青椒肉絲です(笑)。 青椒肉絲はめちゃくちゃ得意。好きだから上手くなったというのもありますね。 絶対に失敗なく、上手に作れます!
手早く作るには、筋力がいりそうです…。
筋力いります?(笑) 炒めるだけですよ。
中華鍋をダイナミックに振ってらっしゃるイメージがあるのですが(笑)。
いえいえ、普通のフライパンで作っています(笑)。
臆せずに色々なことに挑戦してみたい
宝塚歌劇 花組・月組100周年記念公演『Greatest Moment』では男役姿をカッコよく見せてくださいましたが、今でも男役時代のクセが出たりしますか? また、男役の経験はこれからも活かしていくのでしょうか?
今までは「男役・珠城りょう」を構築するために訓練して、男役を日常でも意識して過ごしてきましたが、その必要がなくなった今は男役のクセは一切出ないです。男役だった自分を感じることも、卒業したら不思議とないんです。
コンサートではパンツスタイルがメインにはなりそうですが、「男役ではない、珠城りょうとしてのパフォーマンスをお見せしよう」と、悦子先生とも話しています。これからについては、自分でこれと決めずに、ご縁の中で色々やってみて、一人の俳優としてのカラーを定めていきたいです。
珠城さんの真骨頂は役の人物像の深い理解と繊細な演技力にあると思いますが、中小劇場でのストレートプレイに興味はおありですか?
劇場の大小や、作品の規模に関わらず、私は自分以外の人生を生きられることにお芝居の楽しさを見いだしてきたので、もちろん挑戦したいと思います。色々な年齢の役や、本当にどうしようもない人間も演じてみたいですね。
8〜9月に出演予定の『8人の女たち』(主催:梅田芸術劇場)はストレートプレイです。ステージ上では女優としての初パフォーマンスになりますので、とても楽しみです。
もし、男役のオファーが来たら受けられますか?
一人の男性を演じるという意味では面白いと思うので、男役という考え方でなく、お受けすると思います。宝塚の男役は宝塚にしかないものなので、今後、男性の役をやることになっても宝塚の男役にはならないと思います。
映像のお仕事へのご興味は?
ご縁があればやってみたいです。在団中にダイキンのCMをさせていただいたときに、映像の面白さも感じるところがあり、それがドラマや映画となったら、アプローチの仕方が舞台とどんな風に違うのかは気になる部分でもありますから。臆せず、色々なことにどんどん挑戦していきたいと思います。
ヘアメイク:河上智美 / スタイリスト:久保コウヘイ
文:中本千晶 / 撮影:吉原朱美