イタリア映画界の名匠と名高いフェデリコ・フェリーニの自伝的作品『8 1/2(はっかにぶんのいち)』を原作に、アーサー・コピット、モーリー・イェストンといったブロードウェイの巨匠たちにより生み出されたミュージカル『NINE』。今回、フェリーニ自身の投影とも言われる主演グイドを演じるのは城田優さん。確かな実力とカリスマ的な魅力で舞台、映像、音楽、更にはプロデュースや演出など多彩な才能を発揮し、今最も注目を浴びている城田優さんに、本作品への意気込みを語っていただきました。
その演出の経験が今回の舞台で活かせそうだという部分はありますか?
役者は役を演じるときに自分の経験とか、自分の似たような境遇だとか活かせるところはもちろんありますが、そうはいっても全く自分とは違う人間を演じます。
今回のグイドという役は、カサノヴァという色男というか、気が多い男性という役どころ。
しかも、彼は映画監督であるので、ものを作り上げるという点で言えば僕にも重なるところがあると思います。
『ファントム』や、『アップル・ツリー』というミュージカルを演出させて頂いている中で、ものを作ること生み出すことの苦しさとか、行き詰ったときのストレスとか、そこからどう脱するか、みたいなことはもちろん僕自身も経験しています。
しかし、それはあくまでも城田優の感情であって、それがグイドのものと一緒かというとそれはわかりません。
ただ、経験という点ではグイドという役に当てはまることもあるので、活かせるのではないかなと。
理解だったり共感だったりはいっぱいできるところはあるので、そういう意味では役作りとしては役立つと思います。
自分が演出家としてインスピレーションもらいたいと思い、出演者を呼んで話を聞いたりとかします。
役者として一人のキャラクターを演じてというのはもちろん、監督として、演出家として、物語の全体の像をつくり上げるうえで、インスピレーションが欲しいと思うこともあります。
グイドの場合、そこが女性に向いていたりすることが圧倒的に多いのかなと思います。そこは理解もできるし意味も分かりますが、さっきも言いましたように、全く相反するものというか、全く違うとまでは言わないですけれど、僕自身と彼との感覚は違います。
ただ、方法や、中身は違っても、その意味は分かるということです。
やっぱり、ルイザじゃないでしょうか。妻ですね。
自分のことを、側面も含めて分かっていても、ずっと献身的でいてくれている彼女こそ、自分の人生には必要な人ですよね。
カルラじゃないでしょうか?
不倫相手というか、浮気相手というか。言葉を選ばずに言うとメンヘラ感がちょっと強めですし(笑)そういう人とはうまくいかないかもです。
「あなたが来てくれなきゃ…」みたいなのは、ちょっときついですね。無理かもです(笑)
藤田さんとは、まずはじめに、今後進めていくにあたってお互いの意思や方向性について少しお話をさせていただきました。
実は台本だけ読むと非常に難解でして、抽象的に描かれている部分とか、時空が混ざる瞬間とかがあって、頭から最後まで妄想なのか現実なのか、今起こっていることなのか、脳内なのか、一回読んだだけでは絶対わからないような箇所がたくさんあります。
正直これはちょっとやばいかもと、台本を読みながら思っていたのですが、藤田さんとお話をさせて頂いて、少し道が開けたというか、つくろうとしていらっしゃる方向性やセットの雰囲気を見させていただいて、ああ、なるほどと、こういう感じで行くんだ、こういう風に進めて行くんだなと分かりました。 それで、不安しかなかったところに、一気に楽しみが湧いてきたという感じです。
その時にプロデューサーさんから一年前に僕が演出家として出演者に説明しているときとリンクしますねと言われました。 あれ、そんなことしたっけって(笑)記憶もないくらい。
そんな風にはるか昔に感じるくらい、しっかり演出サイドとコミュニケーションをとるのは久しぶりなんだなとも思いました。
2020年にやるという意味だったりとか、これも今後変わる可能性はあるのですが、2020年東京オリンピックっていうところも含めたセットだったりとか、雰囲気だとか…。
あとは、僕が映画監督という役どころなので、実際に映画の醍醐味というか、面白い企画というか、試みというか…演出もあります。
何か注目してほしいことなどありますでしょうか?
セディナさんって…『ファントム』を貸し切っていただいた…ありがとうございます!
そうですね、いろいろなタイプの女性が登場します。
自分がどういうタイプの女性なのか、もしカテゴライズするとどの女性に当てはまるのか考えて観ていただくと面白いのではと思います。もちろん、私は誠心誠意頑張ってグイドという色男を演じます。素敵だなと思ってもらえるよう頑張りますので、ぜひグイドの良い一面も見つけてもらえればうれしいです。
今、色々観劇しづらい世の中になってしまっているので、そのストレスとの戦いを主催しているスタッフ、矢面に立つキャストが、難しい何とも複雑で言葉にできない思いを抱えながら公演に挑むことになると思います。
もちろん最大限の感染予防、できることは全部やります。 そして、つくる側が一方通行で勝手に進んでいるというよりは、つくる側とお客様が同じ気持ちになって、本番の空間で前向きになれるような時間をお届けできればいいなと思います。
ヘアメイク:Emiy スタイリスト:横田勝広(YKP) コート¥65000 パンツ¥116000 シャツ¥52000 シューズ¥70000/ヨウジヤマモト
問い合わせ:ヨウジヤマモトプレスルーム 03-5463-1540