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■《インタビュー》「笑う門には福来たる 〜女興行師 吉本せい〜」出演者インタビュー

 

2014年の初演から、2016年の再演、そして今年5月に大阪松竹座、7月には新橋演舞場にて、満を持しての再々演を迎える「笑う門には福来たる〜女興行師 吉本せい〜」。
藤山直美さん演じる吉本せいを囲む、弟・林正之助役の喜多村緑郎さん、夫・吉本泰三役の田村亮さん、息子・頴右役の西川忠志さんを迎え、再々演に臨む意気込みと、この作品の魅力を語っていただきました。

 

――前回2016年に大阪松竹座で公演された時に、印象に残っていることはありますか?

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喜多村緑郎
「お客様の反応がすごかったな、という記憶があります。まず、チケットが取れないんですよ!知り合いが急遽観たいということで、チケットを取ろうとしたんですが、初日からずっと満員御礼だったので、3階の一番後ろがようやく取れました。この時は、藤山さんが3日間くらいしかお稽古に参加できなかったので、それまではみんなでお稽古をして、まわりを固めてたんです。でも、僕も実は体調を崩してしまって、ほぼお稽古に参加できていなくて、舞台稽古からの参加だったんです。だからちょっと不安だったんですね。でも、舞台が開いたらすごいお客様の反応で、強烈に印象に残っています。これは再演するだろうな、と思いました。」

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田村亮
「僕もお客様の入りがすごいんで、嬉しかった記憶があります。動員記録を作ったみたいで。舞台の袖で、藤山さんとお話しする時間があったんですが、“もし再々演することがあったら、今と同じ出演者が全員揃ったらええなあ”、なんておっしゃっていたんですね。そうしましたら再演のお話をいただいて。僕の演じる泰三は、女性から見たらしょうもない男かもしれないんですけど、結構理解できるところもあったりしてね。男だからね、女遊びもするだろうし。僕はしないけどね(笑)。お酒も好きだろうし、芸人も好きだろうし…自分に正直に生きている人だから。その役をまたできるのかなと思うと楽しみですね。」

 

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西川忠志
「田村さんは父と同じ歳で、大大大先輩でいらっしゃるんですが、まずはそう思えないくらいお若くて、そのうえ舞台上でものすごくセクシーです。もう本当に!田村さんのセクシーさも見所のひとつですよ!
僕は、前回の大阪松竹座から参加させていただいております。前回の公演で藤山さんが途中からお稽古に参加されるとのことで、今まで新橋演舞場、博多座と公演されていたので、藤山さんなりの〝吉本せい像〟というのがあったと思うんです。でも、僕は代役の方とずっとお稽古させていただいていたので、藤山さんが参加されたときに、また変わっていくのかな、と思ったんですけど、とんでもなくて。〝今まで、お稽古してきたなかであなたたちが積み重ねてきたことに、ついていきます。今回は新しいメンバーで新しいものを作っていくから、今までお稽古してきたことを教えてください。そのなかで心を通わせていきましょう〟とおっしゃっていただいて。大先輩でいらっしゃるのにそう言っていただいたことがとても嬉しかったのと、お稽古の大事さも教えていただきました。本番よりもお稽古の段階でのことを鮮明に覚えております。」

 

――役を通しての、せいさんの魅力とは?

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喜多村緑郎
「僕の役としては、姉に委ねているところと姉をサポートしなければいけないっていうところがあって。プライベートで姉はいないんですが、この役をいただく前から藤山さんとは姉弟のような関係で。先輩後輩ではあるんですが、姉弟みたいな感じもあり、肉親のような親しみがありますね。共演する前からそのようにさせていただいていたので、この舞台上で姉弟役を演じるのが、なんか不思議な感覚なんですよね。舞台の上と普段と、心理状態が変わらないという。だから吉本せいってどんな人?って聞かれて僕が感じるのは、お姉さんをみる弟の目からの感覚と同じかなって思いますね。せいさんは夢や情で動いていて、僕はそこ以外のところをサポートすることで、何十年も続いている吉本興業を支えている。その何十年も続いている関係で、軋轢が生まれたり、でもそれを超えての愛情もあるんですね。だから、この役を通して人間って面白いなって感じましたね。」

 

 

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田村亮
「私は、せいさんと直美さんがオーバーラップしちゃうんですよね。おふたりに共通してあるのが、やはりパワフルさだなあと思います。泰三の尻拭いを全部してくれるしね(笑)。」

西川忠志
「でもね、せいさんがどれだけ泰三さんを愛していたかっていうのは、戦争で全てが焼き尽くされて、劇場もなくなって、もうこれで吉本は終わりやってなった時に、亡くなった泰三さんがまた舞台に出てこられるシーンがあるんですけど、その言葉でせいさんがまた奮起して負けるもんかって再興していくというところですごく感じます。」

田村亮
「そうそう、いい男なんだよ。結構ね、2枚目でいいこと言ってるんですよ。あの世で更生してるんじゃないかなあ。」

喜多村緑郎
「あのシーンが泣いちゃうんですよね。もう本当に何もなくなっちゃいますもんね。」

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西川忠志
「今、いいことおっしゃいましたけど、泰三さんが亡くなったときには、女の人が、〝私は今まで泰三さんと付き合ってた女です。今までお世話になりました〟って出てくるんですけど、せいさんはちゃんと襟を正して、自分からお礼をして、手切れ金まで渡すという、素晴らしい奥様なんですよ。ご主人が亡くなった女性が、これだけのことを成し遂げるというのは、やはり歯を食いしばって、それこそ歯がボロボロになるくらいに頑張ってきたと思うんですね。そんな姿を身近に見てきた息子としては、小さい頃はなかなか家に帰ってこず、優しく接してもくれないという気持ちもあったと思うんです。ただ、いざ吉本に入社して一緒に働くことになると、お母さんが今まで頑張ってきた姿を目の当たりにして、〝これではいかん、お母ちゃんに親孝行するために、俺がお母ちゃんが安心して退けるようにするために、一生懸命頑張っていかないとあかん〟と決意をする。そしてまた、普段の直美さんの頑張りとそのお姿を見て本当に〝守らなければいけない〟という気持ちにもなって。今回の役作りは、個々でさせていただいているような、そんな想いでおります。」

 

 

 

――藤山直美さんの魅力はどこにあると思われますか?

喜多村緑郎
「頭の回転が早い方ですし、舞台で全てができるんですけれども、無駄なものをどんどん削ぎ落としていってらっしゃるんですね。行き着くところまで行き、真っ白というか。削ぎ落としていくことができる人ってなかなかいないと思うんですよね。普通はできないからどんどんくっつけていっちゃう。さっき西川さんもおっしゃっていましたが、稽古場でみんなが作ってきた中にぽんって入れちゃう。それでも最終的には直美さん色に染まってしまう。そこに凄みを感じますよね。だからお客様の心を掴んだら離さないんですよね。」

田村亮
「とにかく、お稽古中も出演者を笑わせるんですよ。出番を控えてる役者さんとかを、ぷって笑わせるような。それとなんでも受けてくれるんです。間が違ったりとかしても全部受けてくれるんですね。役者って台詞に間とかの癖が付いちゃってるんですよね。それを全然気にしないというか。基本的なことをきちっとやっていらっしゃるんでしょうね。」

西川忠志
「僕は舞台に出るとき、楽屋で最初から最後まで、1回全部セリフを言うんです。でも直美さんは、一度稽古で身に入った言葉は、1回全て忘れて、舞台に出てから相手がおっしゃった言葉に対して、言葉を返されているのじゃないかなと思うんです。楽屋でセリフをおっしゃってるところを見たことがないです。袖でもないです。全く関係ない話ばっかりしてます(笑)。」

――この作品の魅力はどこにあると思われますか?

喜多村緑郎
「いろいろな人の想いと、さまざまな人間模様が見えるということですかね。吉本せいさんのサクセスストーリーというだけではなく、どんな人が観に来ても、共感できる深いお芝居だなって思います。親子や夫婦、その不条理さとか、いいことなんてないんです。それこそ旦那さんに女の人がいて、歯を食いしばって手切れ金を渡して、お世話になりましたって言える奥さんがいたり、息子のことを放ったらかしにしても会社のために頑張ったり、戦争があったりとか。本当に深い深いお芝居なんですよね。それが魅力だと思うんです。」

田村亮
「時代のスパンが長いじゃないですか。弟が成長して、息子も成長してきて、歴代の芸人さんたちが登場してきて、本当に吉本の集大成が詰まっている作品じゃないかなと思います。」

西川忠志
「作品の魅力って絶対あると思うんです。例えばシェイクスピアだったら何百年も前から同じ作品なのに役者さんが変わったり、演出の仕方が違ったりで、それで観に行くじゃないですか。でもこの作品は、せいさんという人間の持つストーリーがおもしろい、というなかで、いろんなバージョンを観てみたい、ということだと思うんですね。せいさんがモデルになっている〝わろてんか〟がNHKでドラマ化もされましたし、やっぱり素敵な題材なんだと思うんです。〝わろてんか〟を見て〝笑う門…〟を観たいという方もいらしたでしょうし、その逆もあったと思うんです。相乗効果というか客層が広げられる題材なんだなと思います。」

――何度も再演している作品ですが、出演者のみなさまの息はぴったりでしょうか?

喜多村緑郎
「稽古場の厳しさはありますけれども、一緒に食事に行かせていただいたりとかもしますし、仲がいいですね。この舞台の共演者のみなさまとは別の舞台などでもご縁があったりとか、繋がってる感じがありますね。」

西川忠志
「直美さんをはじめ、みなさん大先輩なのに気さくにお話しをしていただけるんですよね。そうやってお話しをしてくださることで、緊張がほぐれてきてお稽古に入れるんですけど、その雰囲気を、まず先輩方が作ってくださるんですよ。」

――今回、吉本の本拠地大阪での公演から始まりますが、どのようなお気持ちで臨まれますか?

喜多村緑郎
「僕は吉本新喜劇が子供の頃から大好きでね。もうめだか師匠なんて雲の上の存在の方で。それだけ大好きな吉本新喜劇の聖地で公演するっていう緊張感はありますね。実は初演の時、標準語でやったんです。最初は、この役は関西弁でちゃんとやらないと、背景とか見えてこないんじゃないかなと思いながら演じていたんですね。でも、直美さんが東京の人が変に関西弁を使うと気持ち悪いからとおっしゃられて。だけど、再演の時に2ヶ月特訓したんです。ダメだったらまた標準語に戻そうと思って。そうしたら直美さんに稽古場で、あんた喋れるなあ…って、お墨付きをいただいたんです。努力して良かったなって思いました。特訓して思いましたが、関西弁は英語より難しいです。」

田村亮
「前回、あれだけたくさんの方が観に来て下さったという事は、今回も観てくださる方が大勢いらっしゃるんじゃないかと思うんですね。だから、何かひと味変えなきゃいけないんじゃないかなとも思うんですが、でも逆に初演通りにやることも大事なんじゃないかなと。そこを肝に銘じて、お稽古に入ったら相談しつつ考えて行かないといけないなと思いますね。」

西川忠志
「大阪に限らずですが、お客様の目は厳しいと思います。同じ台本でしゃべる言葉は同じなんですけど、やはり1回1回のその時にしか出ない気持ちを大事に、言葉のキャッチボールをしていきたいと思います。」

――セディナカードの会員様に向けて、一言いただけますでしょうか。

喜多村緑郎
「直美さん筆頭に、色の違った個性をお持ちの俳優さんが集結した、笑いあり涙ありの舞台です。期待していただいても、絶対に損はさせませんので、騙されたと思ってぜひ劇場に来ていただければと思います。」

田村亮
「藤山直美さんが復帰されて、本当に張り切っていらっしゃいます。ますますパワーアップして、みなさまを惹きつけるんじゃないかなと思います。ぜひ、足をお運びください。」

西川忠志
「生きていれば、日々喜怒哀楽いろんな気持ちになると思うんです。副題は〝生きる力〟です。劇場に来ていただいて観ていただいたことによって、また明日から頑張っていこうってちょっとでも受け取っていただけたらと思って、この作品創りに励んでまいりたいと思います。」

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出演者3名のみなさまが、この作品とせいさん役の藤山直美さんをとても大事に思っていらっしゃることを言葉の端々に感じる、心が温まりながらも、楽しいインタビューとなりました。

みなさま、ぜひご期待ください。

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