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■ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』柿澤勇人さん×ウエンツ瑛士さん《インタビュー》

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ミュージカル
ブラッド・ブラザーズ

はじめにINTRODUCTION

血のつながりこそ絆。片割れと知らずに友情を育んだ双子、その数奇で切ない人間ドラマ

1983年ロンドン・ウエストエンドでの初演以来、世界中で愛されているミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。正反対の環境で育った双子の兄弟が、お互いが双子であることを知らないまま、数奇な運命に翻弄されていくこの物語は、日本でも1991年以来繰り返し上演されてきた名作です。この作品で双子のミッキー、エディを演じる柿澤勇人さん、ウエンツ瑛士さんに作品や役柄の魅力をお話しいただきました。

あらすじSTORY

同じ日に生まれ、同じ日に死んだ双子(ふたり)。

リヴァプール郊外で双子の男子が誕生した。双子の一人であるエドワード(ウエンツ瑛士)は裕福なライオンズ夫妻(一路真輝&鈴木壮麻)に引き取られ、もう片割れのミッキー(柿澤勇人)は、実の母親ミセス・ジョンストン(堀内敬子)と兄サミー(内田朝陽)のもとで貧しくも逞しく暮らしていた。正反対の環境で育った二人はお互いが双子であることを知らないまま、7歳で出会って意気投合し義兄弟の契りを交わす。しかしミセス・ライオンズは我が子エドワードを実の母親にとり返されることを恐れ、ライオンズ一家が転居。エドワードとミッキーは今生の別れをしたはずだった。そのうちミッキーの家が取り壊しとなり、移り住んだ先は偶然エドワードの家の近く。

15歳になった二人は再会し、固い友情を育むようなる。エドワードとミッキー、そして幼馴染みのリンダ(木南晴夏)は恋と希望に溢れた青春の日々を謳歌する。しばらくしてエドワードは大学に進学。ミッキーは工場に勤め、リンダの妊娠を機に結婚。大人として現実を生きはじめた二人の道は大きく分かれていった。不景気により失業したミッキーは、ついに犯罪に手を染め薬漬けに。議員となったエドワードはリンダを通してミッキーを支えるが、運命は二人を容赦しなかった…。

柿澤勇人さん×ウエンツ瑛士さん
インタビュー
INTERVIEW

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「何度も劇場に通って繰り返し観た大好きな作品です!」(柿澤さん)

まずは、本作に出演が決まったときのお気持ちから聞かせてください。

柿澤勇人(以下、柿澤) この作品を初めて観たのは2009年、武田真治さんがミッキー役を演じていた舞台です。それがすごく面白くて、自分でチケットを買い足して6回くらい観にいきました。その後、別のキャストの方が新橋演舞場で上演した際も観に行きましたし、ずっとこんな作品、こんな役を「やりたい、やりたい!」と言っていたところ、本当に念願がかないまして……というのが今回です。しかも双子の相手は、もともとよく知っているウエンツ瑛士さん。

ウエンツ瑛士(以下、ウエンツ) はーい、僕でーす(笑)!

柿澤 知ってるわ(笑)。ウエンツさんとはミュージカル『A Gentleman’s Guide to Love & Murder 邦題:紳士のための愛と殺人の手引き』という作品で同じ役を演じたことがあるんだよね。ただそのときはWキャストということで、お芝居を一緒にしたわけではないんです。ずっと同じ舞台に立ってみたいと思っていたので、今回は求めていたピースがはまったような心地よさがあり、嬉しく思っています。

ウエンツ 僕はこの作品を日本で観たことはないんです。ただ、柿澤くんから、「僕はめちゃくちゃハマった!」という話は聞いていたんです。そんなに何度もチケットを買って観にいく作品なんて、一体どんなものなんだろうと思っていたら、今回お話をいただいて……。ただ、「この作品が大好き!」という人と、「日本では1度も観たことがない」という人が双子役って……大丈夫かな? とは思いましたね(笑)。だけど逆に考えれば、ある意味バランスが取れているとも言えますし、何より今回はステージ上で、柿澤くんと「役として目を合わせられる」ということが嬉しい。さらに、ここからふたりで一緒に作品を作っていける喜びもあります。

「英国で舞台を観たことがありますが、とにかく愛されている作品だと感じました」(ウエンツさん)

柿澤さんが何度も劇場に足を運ぶほど惹きつけられた、この作品の魅力とはどんなところでしょうか。

柿澤 音楽が素晴らしいこともありますし、それから僕は、ふたりの子ども時代が描かれている一幕が好きなんです。大の大人の役者がみんな7、8歳の子どもを演じているのですが、その姿が面白くて可愛らしくて笑ってしまう一方で、その様子はとても美しくもあるんです。誰もが経験するであろう、まぶしい青春時代を一幕で描いているのですが、それが二幕になると一変してしまう。この舞台は、例えば「テーブルに靴を置くと悲劇が起こる」とか、「双子は生き別れて育つと同じ日に死ぬ」のような、「運命」について語るナレーションから始まるんです。二幕はそのことをひしひしと感じさせてくるので、もう双子がかわいそうで仕方なくなるんですよ! 喜劇性と悲劇性が混じり合っている舞台、それがさらにミュージカルという形。歌ですべてをまかなうというよりは、お芝居の部分で見せていくところが大きい作品になるのではと思っているので、そのあたりも個人的に好きというか、「ハマった」という気がしていますね。僕は、例えミュージカルであっても、根底にはしっかりしたお芝居がないと面白くならないと思っているタイプなので。

ウエンツ 先ほど僕は、日本では『ブラッド・ブラザーズ』の舞台を観たことがないとお話しましたが、実はイギリスの地方の劇場では一度観たことがあるんです。そのときは、事前に何も知らずに観たのですが、周りの反応が、「そうだよ、これこれ!」というような盛り上がりかたで……とにかくたくさんのお客さんに愛されている、歴史ある作品なんだなと感じました。ちょっと不思議な感覚でしたね。だからこの作品を実際に自分が演じるとなったときは、「難しいだろうな」ってことを一番に考えてしまいました(笑)。この作品には、お芝居だからこそできることがふんだんにありますが、それでいてちゃんと「真実味」がないと、あの結末に向かうことはできません。心だけでなく体で見せる場面もあるので、技術的なものも必要ですし、勢いのようなものも必要。ただ、技術はたくさん必要とされるけれど、あまり見せすぎるとお客さんは引いてしまう……そんな逆進性があるところも面白いところではありますよね。ただとにかく、演じる立場から見てものすごく難しい作品だから、これを好きだという柿澤くんは、やっぱりちょっと頭がおかしいんじゃないかって(笑)。

柿澤 いやいや、いたって正常ですよ(笑)!

吉田鋼太郎さんとは、「めちゃくちゃ面白いミュージカルにしよう!」と意気込んでいます(柿澤さん)
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今作は、1991年の初演時にサミー役を務めていた吉田鋼太郎さんが演出を務めることも話題です。柿澤さんは、以前にも吉田さんとはタッグを組んでいらっしゃいましたね。

柿澤 はい。実は鋼太郎さんとは『ブラッド・ブラザーズ』について、すでに少しお話したんです。もちろん、本格的なことは稽古に入ってからにはなるとは思いますが……。『ブラッド・ブラザーズ』に関して「あれは本当によくできている作品だ」と絶賛なんです。今回の舞台のことも、「もう、めちゃくちゃ面白いミュージカルにしようぜ!」と意気込んでいらっしゃったので、きっとそうなると思います。イギリスの作品、翻訳劇ということで、日本人にはわかりにくい部分はあると思いますが、鋼太郎さんは作品のことも熟知していると思いますし、そのあたりは「吉田鋼太郎演出ならでは」のものになるのではないでしょうか。

ウエンツさんは吉田さんの演出は初めてかと思いますが、期待することはありますか。

ウエンツ 期待ですか……。これは、どんな演出家さんに対してもそうなのですが、演出家さんは、その役者に合った言葉で、その人に足りないものや、別の角度からの視点というものを与えてくださるものだと思っています。なのでもちろん期待はありますが、ただそれに甘えず、自分を自分でも演出して、その上で新しいものを吸収するようにしたいなと思っています。だから僕は「準備をしておかなければならないな」と、今から身が引き締まる気がします。

柿澤さんから、「吉田さんの演出はこんな感じかも?」という期待や予想はありますか?

柿澤 そうですね、鋼太郎さんは臨機応変なタイプかもしれません。以前ご一緒した『アテネのタイモン』という作品では、出演者数がすごく多く、展開もとても早かったからか、自身の劇団のキャストには、かなり厳しい言葉を投げかけていた印象があります。それこそ、蜷川幸雄さんのように(笑)。ただ、腑に落ちないところがあれば、一緒に考えてくれることもあり……。いっぽう『スルース〜探偵〜』のときは、二人芝居ということもあって、何度も台本読みを繰り返して。台詞についても、「言いにくいところがあったら言って。すぐ変えちゃうから」って。あんなに何度も密にやっていただいた経験はあまりなかったので、すごく有意義でした。
今回はどうなんでしょうね。鋼太郎さんがミュージカルでどんな演出をするのかはまだわかりません。初日から「立ってやろう」となるかもしれないし、「まずはちゃんと台本を」となるのかもしれない。もうついていくしかない(笑)。ウエンツさんが言ったように、研究をしたり、準備をした上でね。

ウエンツ 歌の演出が楽しみかな? 初めてのミュージカルの演出はどんなふうにされるのかな? というところに興味があります。

柿澤 そうだね(笑)。

寂しがり屋なところは似ているけれど「強がるか、強がらないか」が違うよね(笑)(ウエンツさん)
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ミッキーとエドワードは二卵性双生児ですが、おふたりにも10月生まれという共通点がありますね。誕生月以外に、似ていると思うところはありますか?

柿澤 僕が今着ているトレーナーは、さっきウエンツさんからいただきました! お互いの誕生日が近いから、僕も用意しようかと思ったけど、何も持ってこなくて。「用意するタイプ」か「しないタイプ」かどっちかなと思ったのですが、今日はそこにズレが生じましたね(笑)。

ウエンツ ふふふ。『KENZO』のトレーナーを贈ったのですが、僕も今日は『KENZO』のトレーナーを着ています。同じブランドを着ようと思って差し上げたんです。だから今、つながりは服!(笑) ただ同じブランドでもデザインは全然違うので……実際の僕たちも、そんな感じなのではないでしょうか。例えば「寂しがり屋」のところは似ているけれど、そこで「強がるか」「強がらないか」の違いがある(笑)。

柿澤 (ウエンツは)強がるよね(笑)!

ウエンツ そう。僕は強がる(笑)。

強がるウエンツさんと、寂しさを表に出す柿澤さん、なのですね。お互いの役者としての印象はどのようなものでしょうか。

柿澤 ウエンツさんは非常に器用な人だなと思っています。子役の頃から劇団四季のミュージカルに出演していますし、歌も踊りもスキルが高い……踊りはまだ見たことはないですが、「動けるのだろう」というのは、ふだんの動作を見ていても伝わってきますし。さらにロンドンにも勉強しに行って……。帰国してから初めての作品が、ピーター・シェーファー(英国の劇作家)で、『わたしの鼻』だっけ(笑)?

ウエンツ いやいや、『わたしの耳』(笑)! 「鼻」だと変な感じになっちゃうから! ほら、今ここにいる人、誰も笑ってない……オレまでスベったみたいになっちゃったじゃん(笑)。二卵性でも、そこはひとりでやってくれよ!

柿澤 ははは! 『わたしの耳』はすごく良かったですよ。ウエンツさんは、僕には絶対にできないお芝居をしているなって。そのときは、ちょっと冴えない男の子の役だったんだよね。モテたいんだけど、なかなかうまくいかなくてっていう役柄をさらりと演じていて。僕だったらあんなふうにはできない。深みがないというか、真実味が出ないだろうなって思っちゃう。他の役にしてもそうだけど、ウエンツさんは自分にはできないお芝居をするんですよね。でもそこにちゃんと真実があるから、彼を見てしまうし、彼の動きを追ってしまう……そこが、なかなかうまく言えないですけれど、非常に魅力的なところなんです。

ウエンツ 今、僕すごく褒められていましたね、ありがとうございます(笑)。僕が柿澤くんが持っているものについて言うとしたら……「危うさ」とか「色気」。それは技術に裏打ちされたものでもあって、だからこそ素敵だし、憧れたりもするんですけど、その上で彼が違うのは、そういうったものを「可愛らしさ」とか、「チャーミングさ」で隠せるところ。そんな人って僕、見たことなくて。だからそれは強みだと思いますし、あとは先ほども言いましたが、「寂しい」ってことをちゃんと伝えられる、強さがあるところ。僕は「寂しい」ってこともなかなか表明できない人間ですから、芯があって、自分を剥き出しにできる強さがある柿澤くんを羨ましいと思っています。ただ、そんなことも今まで一度も表明したことはないんですよ。「きみが羨ましい」なんて、口が裂けても言いたくないですね(笑)!

柿澤 あはは!

ウエンツ 今は取材だから言いましたけど。さらに人間性だけじゃなく、お芝居が好きという根本の気持ちと、真正面からぶつかり続ける態度と……そんなことを何年経っても続けられる人ってなかなかいないと思います。

笑って泣ける要素が満載!自信を持ってお届けします!(柿澤さん)

それでは最後に、それぞれの役柄への意気込みをお願いします!

柿澤 はい、ミッキー役については、子ども時代を演じることになりますので、まぁひとつ準備していると言ったら、小学生の甥っ子を観察することですね(笑)。家も近くて、今も毎週のように会って、サッカーしたり、ゲームしたりしているのですが、その回数を増やしてみようかな。動きとか、目線とか、仕草とか……そんなものを盗んでみるというか。ただ、それがあまりに「やってる感」が出てしまうとつまらなくなってしまう。その辺りは、鋼太郎さんがきっと見抜いてくれるはずだと思っています。あとは、恋人であるリンダ(木南晴夏さん)と、その日に生まれる感情を楽しむことだけかなって。悲劇的な物語ではありますが、そこはあまり「狂気的にやろう」などと変に気負わず、「ただそこにいる」みたいなことができればいいなと思っています。

ウエンツ 僕も今は本当にエドワード役のことをあまり考えていないのですが……。しっかり台本を読んだときに、大人になった方を先に作るのか、子ども時代を先に作るのか、それだけ決めたいなと思っています。つまり、「最終的にこんな人物だから、子ども時代にはこんな芽があったりするかも?」と、結末から組み立てる作り方をするのか、「子供時代にこんなことがあったから、大人になるとこうなっていくはず」という作り方をするのか。それは、台本で描かれる出来事や台詞を見て、ゆっくり考えたいですね。もちろん、「この事件やこの台詞がカギだ!」みたいな見せ方は絶対にしないですけどね! ただ、正直、ここまで年齢に幅がある役には経験がないので、探り探りかもしれませんね。

では、最後に観客のみなさんにメッセージをいただけたらと思います。

ウエンツ この作品のストーリー、キャスト、演出は、毎公演ステージ上で起こる化学変化が大きいと思います。もちろんストーリーは決まっているのですが、役が「感じる」ことで柔軟に揺れ動くものが、きっとステージ上にはたくさんあると思うので、ぜひその瞬間を見逃さないでほしいです!

柿澤 ウエンツと僕の止められない運命を描くストーリー、素晴らしい音楽、そして吉田鋼太郎さんの演出……。笑って泣ける要素がたっぷり入った作品なので、自信を持ってお届けできます。コロナ禍の状況ではなかなか難しいこともありますが、精一杯日頃の鬱憤を発散して、心を浄化していただけたらと思っています。お待ちしています!

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