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■『ナイツ・テイル〜騎士物語〜』制作発表レポート

『ナイツ・テイル〜騎士物語〜』の制作発表記者会見が、5月31日に東京都内で行われました。
KinKi Kidsの堂本光一と井上芳雄、音月桂、岸祐二、大澄賢也、島田歌穂、さらに脚本・演出のジョン・ケアード、振付のデヴィット・パーソンズ、ケアード、日本語脚本・歌詞を務める今井麻緒子らがが登壇した。

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ジョン・ケアード
光一さんと芳雄さんで何かふさわしい作品ができないだろか、と東宝からオファーを受けました。光一さんは音楽、芳雄さんは演劇と、違う背景を持った2人が共演することに強い興味を持ちました。この二人が共に仕事をすることで、いい緊張感が生まれて面白いと思いました。ですが、男性同士が同等の重さで登場する作品は少なく、とても難しかったです。例えば『ロミオ&ロミオ』のような作品ですね(笑)。本当に驚くほど少ないんです。「ナイツ・テイル」はシェイクスピア後期の作品で、数回ですが脚色されています。2人の男性が1人の女性を好きになるんですが、もうひとつ2人の男性には「名誉」というテーマがあって、それがまるで日本のサムライの時代と似ているような気がしました。また、脚色するにあたってシェイクスピアの後期ロマンティックといわれるような作品郡に近づけることが出来ればと思っています。作品に敬意を払いつつ、21世紀に合うように描きかえました。日本初演でミュージカルを作ることは初めてのことなので、ただ翻訳ということではなく、はじめから日本語での言い回しも考えて作っています。台詞でも歌でもストーリーを伝えますが、この作品はダンスがかなり重要になると思います。そしてこれはコメディです。世界初演のこの作品を一丸となって取り組んでいきたいと思います。

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堂本光一
いつか芳雄君と一緒に出来るといいねと話していたんですが、ジョンがその想いを受け止めてくださって、一つずつ少しずつ形になっていきました。でも、まだ信じられないという感じです。正直ここに自分が飛び込んでしまったことは本当に大変なことだなと…、できれば客席で観たい!って言ったらきっと怒られますけれど(笑)。右を見ても左を見ても素晴らしい方たちと共にできるということを嬉しいとともに、非常に恐れ多いと感じています。アーサイトという役をさせて頂きますが、ポスターも新しく撮影したものがありますけれども、ステージ上でもああやって脱ぐ姿があるのか、芳雄君はそういうシーンがあれば降りるという風におっしゃっていました(笑)。まだ分からないですけど(笑)。でも本当に数日だけの稽古の間でも、ジョンが少しずつ説明してくれることによって、今まで本当に遠い存在だったシェイクスピアの作品が、まるで近くに存在しているような錯覚を感じています。どうか皆様の支えもよろしくお願い致します。

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井上芳雄
この作品は24日に顔合わせがあったんですが、僕はその足でニューヨークに飛びまして、トニー賞をレポートしてくるという仕事がありまして、まだ全く稽古に参加できておらず…、帰ってきたばかりなので、皆さんにも馴染めてないし、非常に感じの悪い人になっています(笑)。でも今こうやって製作発表の場を設けさせて頂き、本当にやるんだな、現実になるんだなということを感じております。僕はパラモンという騎士の役をやりますけれども、光一君とは従兄弟同士の騎士で、2人は親友でありライバルであるという役柄です。僕が唯一稽古に出られた日にジョンが言ったのは「彼らはお互いのことを羨んで、お互いになりたいと思っている。だから親しくもするし、いがみ合うこともある」というのを聞いた時に、僕は光一君になりたいとか、そんな大それたことは思ったことがないですけど、どこかでスゴイな、良いなって思っていたのは事実だと思います。光一君は『SHOCK』を長年続けてきて、これからも現状の活動を続けていかれても素晴らしい成果を収めていて何の問題もない方だと思うんですが、1歩新しい、どうなるかわからないところに踏み出してみようと光一君が思ってくれたことがすごいことだとなと思います。そこにはリスクもあるだろうし…

そんな心意気にすごく共感するし、尊敬します。でももっと言えば、そうじゃないと人生って面白くないし、生きている意味もないんじゃないかと僕は思うので、光一君がひとつ踏み出かったなと思えるように、僕も力のひとつになりたいなと思います。やっぱり踏み出すんじゃなかったという結果にならないようにしたいと思います。僕はどちらかと言えばホームグラウンドのミュージカルで光一君を迎え入れる立場で、今回は余裕でできるのかな?と思っていたら、ダンスミュージカルだと聞きまして。「おっと聞いてないぞ?」と思って(笑)。僕はダンスを得意としてる訳ではないですし、今日見て頂いた新しいポスターですが、この素敵なポスターですけど、完全に僕の筋肉は盛って頂いているので(爆笑)、ちょっと今からそこはスタッフと話し合いをしないといけないと思うんですが(笑)。

堂本光一:いや、僕にとってもそんなに簡単じゃないので!筋トレのことだけは俺に訊いて!

ジョン・ケアード:芳雄にもこのくらい筋肉つけさせますので。

井上芳雄
僕、筋肉つかないんです(笑)。とにかく新しいものを、苦しいこともあるでしょうけど楽しみながらやりたいと思います。ジョンのことは本当に信頼して尊敬していますし、またデヴィッドさんという新しい出会いもありますから、このカンパニーで、皆がそれぞれ何かしら新しいリスクを背負って踏み出すんだと思うので、それを楽しんでやっていきたいと思います。

音月 桂
今回は新作ミュージカルでアテネ大公シーシアスの妹のエミーリア役をさせて頂くことになりました。当時は女性が結婚相手を自分で決めるということはなかなか難しい時代で、特に位の高い女性であればあるほど、家の為や国の為に政略結婚という形を取らざるを得ないという状況の中で、今回演じさせて頂くエミーリアという女性は、すごく独立心の強い、自立したいと願っている芯の強い女性という印象を感じました。そんな女性が二人の騎士に出会ったことによってどんどん変化をしていって、気持ちもどんどん豊かになっていく女性像というお話を伺い「あぁなるほど」と思いました。現代の女性も皆さんどんどん自立しているので、観ている方々に共感して頂ける役なんじゃないかな?と楽しみにしております。国民の王子様、国民のプリンスのお二人と共演させて頂ける、私は今までは、宝塚で男役として王子様を演じて舞台に立つことが多かったので、女性でいいんだ!っていう(笑)。その辺りを噛みしめながら、初日に向けて良い作品を創っていけるように頑張っていきたいと思います。

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岸 祐二
アテネ大公シーシアス役をやらせて頂きます岸祐二です。できれば名前だけでも憶えて帰っていただきたいと思います。2003年の「レ・ミゼラブル」で帝国劇場にアンサンブルとして立たせて頂いて、そして今15年経って、同じジョン・ケアードさんの作品でメインキャストの一人として立たせて頂くことを本当に光栄に思っています。この私のシーシアスという役が、国を倒し、光一君と芳雄君の二人の騎士を捕虜にします。そして妹に素晴らしい音月桂さんを迎え、そして世界的な歌姫、僕にとっても伝説的の歌姫である(島田)歌穂さんを嫁にするという、こんな興奮する出来事は人生でもそうないのではないか?と思うくらいで、毎日稽古場で興奮しております。そして2007年の「レ・ミゼラブル」以来のジョン・ケアードさんとご一緒させて頂けるということで、ジョンさんの世界に、演出に飛び込めることをこの上なく幸せに思っています。また先輩である大澄賢也さんとは今年やった舞台でご一緒させて頂いて、すごく仲良くして頂いて、僕にとってお兄さんのような存在の方ですので、また共演できることを楽しみにしています。この作品は和洋折衷というか、色々な要素があると思いますので、楽しめること間違いないと思います。

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大澄賢也
今ここにいて、縁をすごく感じています。まず堂本光一君とは25年くらい前に、まだ光一君が中学生でしたが「家なき子」というドラマで、僕が学校の先生という役で共演をして以来の舞台での初共演で。そして井上芳雄君とは「ウェディング・シンガー」というミュージカルで共演させて頂き、その後も共演させて頂いたご縁があります。今やもう帝国劇場を1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月とソールドアウトにする1人1人が合わさると、いったいどんな舞台になるのだろうか?と思うほどの贅沢な作品だと思っています。そこに世界的な演出家のジョンさん、振付のデヴィッドさんに来て頂き、僕も30数年舞台をやってきましたけれども、新人のつもりで、みんなで楽しみながら吸収するつもりで、精一杯務めたいと思います。

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島田歌穂
アマゾンの女王ヒポリタを演じさせて頂きます島田歌穂です。皆様アマゾンと言いますとアマゾン川を連想されると思うのですが、今回のアマゾンというのはギリシャ神話に出てくる「アマゾン族」です。女性だけで構成された女戦士たちの一族で、その女王のアマゾネスです。シーシアス率いるアテネ軍と戦い、負けてしまいまして、妃になれと求婚されます。女王としてのプライドもありますし、女性としての揺れ動く心と、非常にエネルギーと威厳が求められる役です。私はジョン・ケアードさんに初めてお会いしたのが32年前「レ・ミゼラブル」初演のオーディションでした。私の人生を大きく拓いてくださった、心から信頼し尊敬している、一生の恩人だと思っています。その後「ベガーズ・オペラ」という作品でご一緒させて頂きましたが、また時を経てこの度、大人が求められる女性役をやらせて頂けることになりました。また新たなチャンスを頂けたことにすごく感謝をしています。堂本さん、井上さんをはじめ夢のようなキャストの皆さん、そして素晴らしいクリエイティブスタッフの皆さんとご一緒に、新作ミュージカルが生まれる瞬間、瞬間を味わっていけることにワクワクします。全身全霊で臨ませて頂きます。

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上白石萌音(ビデオメッセージ)
皆さんこんにちは。ミュージカル「ナイツ・テイル─騎士物語─」で牢番の娘役を演じます上白石萌音です。本日は製作発表に参加できずとてもとても残念に思っております。私は小さい頃からミュージカルが大好きで、ずっとミュージカルを観て、そして自分自身も楽しんで育ってきました。このお仕事をはじめるきっかけもミュージカルがあったからです。なので、その私にとって憧れの大先輩方と今回ご一緒させて頂けること。そしてジョン・ケアードさん、デヴィッド・パーソンズさんはじめ、世界的なスタッフの皆様とご一緒できること、大変光栄にそしてとても楽しみに思っています。私にとって初めての帝国劇場ということもあり、今からとても緊張しているのですが、皆様の背中を見て追いかけて、たくさん学んで初日を迎えられるよう精進したいと思います。

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(ジョン・ケアードへ)ご出演の方々の中に邦楽の演奏をされる方たちがいらっしゃいますが、どのような音楽を考えていますでしょうか?

古典的なヨーロッパのものを日本でやるというのはとても困難だと思いました。ただ古代ギリシャや中世でやるのではなくて、日本で、しかも世界初演でやるのであれば、デザインや衣装や音楽などで日本的な文化・風味みたいなものを取り入れようと思いました。森の中で演奏をするシーンがありますが、和太鼓や和楽器で演奏して踊ると面白いのではないかと思いました。芝居を通して、篠笛(横笛)・三味線に2人の和太鼓と、4人の演奏者が常に舞台上にいます。和太鼓はダンスにもよく合うので、格闘シーンや馬が出てくる時に、和太鼓を効果的に使えるんじゃないかと思っています。西洋と融合させて、新しいものを作ることが効果的になって興味深いものになるのではないかと思っています。

ジョンさんから観た、堂本さん・井上さんの舞台人としての魅力は?

ジョン・ケアード
芳雄の魅力は「キャンディード」や「ダディ・ロング・レッグス」の仕事を通じてよく知っていましたが、光一の「SHOCK」を観に行った時には彼の才能に驚きました。止まらないんです。3時間くらいずっと踊り続けていて、目を見張るものでした。その舞台を1日に2回もやっていて、信じられなくて、まだ生きていることが奇跡だと思っています(爆笑)。
2人に共有している魅力は、主役として中心に立って舞台をひっぱっていく圧倒的なカリスマ性があることです。それが、2人の騎士が自分のプライドをもって話を紡いでいくことに生きると思います。「SHOCK」を観た時に感じましたが、演劇的なものだけでなく強いエンターテイメント性があり、この帝国劇場という大劇場では必要になってくるものだと思います。2人だけでなく、ここにいる全員が大きい力を持っています。

今の言葉をきいて、どう感じましたか?

堂本光一
この企画が本格的にスタートする前に何度かお会いしていて、食事をご一緒させて頂いたこともありますが、その時からジョンは何か僕の心の奥底を見ているな、というような緊張感を感じていました。まだ稽古が始まってそんなにたっていないんですが、実は出演者の僕らはまだ、このストーリーがすごく漠然としている部分がありまして、そういうところをジョンが少しずつ紐解いていってくれるんです。シェイクスピアも完璧に書ききれなかったものをジョンが完成させてくれていると、本当にそう感じています。芳雄君と僕の魅力をカリスマ性だと言ってくださいましたけど、僕が「生きているのが信じられない」という風におっしゃって頂きましたが、僕自身は身体を張るしかなかったので(笑)。なので、違う意味で今回生きることが大変だなと思っていますね。ですから、そういう緊張感をもってやらせていただきたいと思います。

井上芳雄
この物語の説明を聞いていても、ジョンはシェイクスピアと友達だったのかな?ジョンは何才だ?(笑)と思うくらい、シェイクスピアから聞いてきたみたいに話してくれるんです。それくらい説得力もあるし、ジョンは演劇の魔法を教えてくれる、魔法を使える人だと思います。演出家は皆いろんな形で魔法を使えると思います。例えば、山があるシーンで本当の山を出すわけにはいかないし、小さな山を皆で作ることが表現の全てではなくて、箱を積み重ねてその上に乗った時に、山に登ったんだなと感じられることの豊かさがお芝居の素敵さなんだなと、一緒にやることで感じました。もちろん他にも色々なことを教えてもらって体感してきたので、今回大きなカンパニーで、大きな作品になると思いますが、その中にもたくさんの演劇の魔法がジョンによって施されるんじゃないかと、とても楽しみにしています。シェイクスピアの作品を今の時代でやる意味というのを考えておられると思いますし、結末はネタバレになってしまうので言えないんですが、僕はすごく良い話だなって、面白い話、今の時代にピッタリな作品だと思いました。結局男が愚かだという役をやらせていただくんですけど、でもそれは大体が正しいんですよ。女性はいっつも正しいんです!(笑)

堂本光一:そうだよね!(笑)。「ナイツ・テイル」って騎士の話で、ヒーローのイメージだけど違うよね?

井上芳雄
本当に全然違う。帝劇でやるミュージカルでこの結末って革命だと思います。それがすごく素敵に皆さんの心にフィットするんじゃないかと思って、その新しさにもすごく期待しています。さすがジョンだなと思いました。

音月さん、岸さん、大澄さん、島田さんへ、ジョンさんとのエピソードや思い出を教えてください。

音月 桂
私は「十二夜」というシェイクスピア作品でご一緒させて頂いたんですけども、今回の稽古場でもすごく思うんですが、お芝居を作っていく舞台というのは今までにも経験させていただいていて、その稽古場の雰囲気ってどちらかというと自分の課題と向き合ったり、できなくて悔しいと感じたりして、皆で一生懸命に切磋琢磨していく過程の全てが楽しいわけではなくて、苦しいこともあるんです。でも「十二夜」の時も今回も、ジョンさんとお稽古する雰囲気というのが、まるでお料理をしているような感じで「お腹が空いたね、美味しいご飯が食べたいね」っていうポジティブな気持ちで作ると思うんですけど、それと似ていて、稽古場の雰囲気が本当に楽しいんです。私も初めて共演させて頂く方ばかりなので、打ち解けるまでには時間がかかるかと思うんですが、あっという間に、芳雄さんのおっしゃった「ジョンさんの魔法」にかかりまして、稽古がとても楽しいものになっています。たしかに曲の譜面と向き合う時間は「大変だな」と思いますが、今日はどんな刺激がもらえるだろう!というポジティブな気持ちで稽古場に向かっています。

岸 祐二
2007年の「レ・ミゼラブル」で僕がアンジョルラス役をやっていた時にかかわらせていただいたんですが、芳雄さんが言ったように、大きな魔法をもった方だと思います。役者を何かの指示で動かすというよりは、話を聞いているうちにフワッと自分が役に変わってしまっているというか、役者がその世界に入り込めるように誘導してくださるような、そういう大きな力がある方です。しかも稽古の最後まで、照明や演出を作り変える勇気と意欲をお持ちです。良い意味で完成形を持たないと言うか、最後の最後まで良いものを創ろうとされるお力があるので、本当に信頼して毎日稽古をしていますし、絶対に良いものに仕上がると思うので楽しみです。

大澄賢也
僕は初めてなのでこれからになるんですが、えー、非常に女性にモテるんだろうな、と思います(爆笑)。女性が支えたくなっちゃうんだろうなという雰囲気をもっていて、勉強になります(笑)。

島田歌穂
今回は井上さんと同じで稽古初日に参加できただけで、もうすぐ合流できるんですが…、初日にジョンと再会した時には本当に嬉しくて、今回の思い出はこれからたくさん紡がれると思っています。なので忘れられないのは「レ・ミゼラブル」の初演の初日の前に、稽古で「歌穂、良かったよ!」と言ってくれるんですが、自分ではダメなような気がして「ダメ…ダメ」と首を傾げてばかりいたら、「歌穂いい加減にしなさい!歌穂は完璧主義者過ぎる。パーフェクトニズム!演出家の僕が良かったと言っているんだからそれを信じなさい!よかったよって言われたら“ありがとう”って言うことを覚えなさい」と言ってくれたんです。それでやっと「ありがとう」と言えましたので、今回もたくさん「ありがとう」が言えるように頑張ります。

今回の作品には演出には関わらずに、一役者として稽古に入られていますが、どのようなお気持ちですか?

堂本光一
ジョンを筆頭に素晴らしいスタッフがいてくれるので、自分はただそこに飛び込んでいます。これから大変な戦いが待っていると思いますが、とにかくジョンについていかなければという思いです。ここ1週間くらいでやった歌稽古、またその歌稽古の前に皆とちょっとしたワークショップ的なこともやりながら、コミュニケーションをはかっていって、ゲーム的なことをやりながら結果的に皆でステージに立つことにつながっていく、ということをやっています。もちろん先ほど皆さんもおっしゃっていたように譜面との戦いもあって、今回の曲は非常に難解な曲が多いんです。それが稽古の中でアレンジされていく、その過程を見ていることもすごく楽しいですね。こうやって物事がひとつずつ完成に向けて積み上げていくもので、それを見れることがとても楽しいんです。もちろん楽しいだけじゃなく、やる上で自分にとても必要なことですし、稽古中ではアンサンブルもプリンシパルも関係なくて、それぞれ輝きながら稽古をやっているという感覚があります。まだ始まったばかりですけど、皆で創り上げていくということを、この短い間に共有できたのは、芳雄君が言った通りジョンがかけてくれた魔法かな?と感じています。自分にとっては試練ですけど、とても楽しみです。

──光一さん実感が押し寄せているんじゃないですか?

堂本光一
そうですね。本当にすごく学ぶことがたくさんあるでしょうし、ワクワクはもちろんなんですが、それ以上に今は恐怖の方が勝っています。

──井上さんとの共演は初めてだと思いますが、お互い存在を知ったのはいつ頃ですか?

堂本光一
僕が2000年から帝劇でやらせて頂いて、同世代で芳雄君が東宝の作品で素晴らしい演技をしているというのは、その時から知っていました。

井上芳雄
僕はもちろん小さい頃からテレビでも拝見していましたよ。それこそヤバいなと思ったのが「SHOCK」がはじまって、お客様がいっぱいで最初から完売で、このままいくと僕たちいらなくなるんじゃないか?という危機感、ミュージカル俳優からしたら、ジャニーズの方があそこまで歌って踊って芝居をしていたらヤバいぞ!という、戦々恐々としていたんですけど。でもそれが敵ではなくて、一緒にやれる、味方になれる、それが本当に実現するなんて夢のようです。

──そもそもどういう形でこの話が実現に至ったんですか?

堂本光一:東宝のスタッフの方に引き合わせて頂いて。3年前くらい?

堂本光一
そのくらい前だったと思います。僕は一方的に客席から観ていたりはしていたんですね。それでちゃんとお会いしても最初から知らない人ではない、という不思議な感覚があって。お話をしていても舞台というものを専門としてやってらっしゃる方ですから、そういう方の話を聞くのはすごく楽しいんですよね。話しをしていると、おこがましいですけれど、何か共通点みたいなところも見えてきたりもして。やってきたことはお互いに違うかも知れないけれど、何か二人が一緒になったらすごく面白いんじゃないか?ということを周りの方も、そして僕らも自然に感じていったという形です。

──見えてきた共通点というのはどういうところですか?

堂本光一:ステージに立つ姿勢、だったり…どう?(笑)

井上芳雄:これからでしょうけど、僕もずっと東宝の方やファンの方から「光一さんと芳雄さん似ているんじゃないですか?」と言われていて。「言っていることが似ている」とか「ファンの人のイジリ方が似てる」とか(笑)。──毒舌なところですか?!
そこだけじゃないと思うけど(笑)そういう話を聞いて、キャラクターとしてはどちらかと「王子様」とか言ってもらいがちですけど、もう年齢もいい感じですし、それだけじゃないぞ、それだけじゃダメだなと自分でも思っていたので、光一さんの話を聞いて「あ、光一君もそんな毒づいたりするんだ」(笑)と親近感があって、話していても同年代でもありますしね。

岸 祐二:僕らの中では「腹黒王子」と呼んでいて(爆笑)。

井上芳雄:きっと光一君もそういうところある(笑)。

堂本光一:いやぁ…、まあ、あります。あります(笑)。

──その「腹黒王子」お2人と(笑)、共演される皆さんはいかがですか?

音月 桂:先ほど会見でジョンさんが「圧倒的なカリスマ性」とおっしゃっていて、やっぱり吸い込まれてしまうようなところがあります。芳雄さんとはまだお稽古していないですけど、お稽古場に光一さんが現れると皆シュッって。

堂本光一:え、嘘!いや、すごいボヨーンとしてる

音月 桂:違います!ボヨーンとしてない!

堂本光一:僕、すごくスロースターターなんですよ。

音月 桂:えっ?そうなんですか?

堂本光一
稽古が11時にスタートなんですが、皆さんからすると何言っているんだって思うでしょうけど、早いんですよ!僕からしたら…

音月 桂:あ、そっち?(笑)そうなんですか?!

堂本光一
「早ぇ〜」って思っていて、今ね、時差ボケで(笑)。芳雄君は本当に時差ボケなんだろうけど。僕は常に(笑)稽古始まって時差ボケ状態でボヨーンとしてる…と思うんだ(笑)

音月 桂
毎日噛みしめながらやらなきゃ!って思っていたんですけど。お2人のご活躍は今まで一方的に観る側として楽しませて頂いたところに、今回共演させて頂けるというお話を聞いた時に「私で本当に大丈夫ですか?」と言ったくらいなので、この幸せを噛みしめて頑張ります。

──それも二人を虜にする訳ですよね?

音月 桂:私は…ええと、はい頑張ります!(笑)

──島田さんはどうですか?

島田歌穂:そんなにぼんやりとしてお稽古場に入っていらしていたなんて今初めて伺いました(笑)。でもこの両プリンスとご一緒させて頂けるというのが、毎日色々なエネルギーを頂きながらやっていきたいと思います。

──大澄さんはお久しぶりということで。

大澄賢也:そうですね。光一君は中学生でしたからね。本当に素晴らしく成長して。芳雄君もね、すごいじゃないですか。もう飛ぶ鳥落とす勢いの二人が合わさる訳ですからね。

井上芳雄:コメントが漠然としてるな…。心がこもってない(爆笑)。

大澄賢也:いやいや!(笑)

堂本光一
でも、稽古場では賢也さんと岸さんが僕の癒しなんですよ。歌の稽古とかでは皆、椅子に座っているんですけど、賢也さんと岸さんがチャッチャ、チャッチャしてるんですよ。

──ポスターでも皆さん、見事な裸体に注目されていると思いますが。

井上芳雄:いや、僕のは盛ってるんで(笑)。光一君のは、ほぼほぼ現実のものと一緒らしいので。

──写真じゃなかったんですね?

井上芳雄:写真を元にね。

堂本光一:絵にしています。

──舞台上でも裸になるんですか?

井上芳雄:光一君はたぶん全編裸じゃないかな(爆笑)。

──では身体作りも?

井上芳雄:いや、光一君はもう出来てるんで!何もしなくていい!

堂本光一:ずっと言われるんですよ。「これ以上鍛えないでくれ」って(笑)。

井上芳雄:「SHOCK」を観る度に、「なんか大きくなってるな」って(笑)。ヤバいなって。

──じゃあ光一君はあまりガチガチにはせず?

堂本光一:でも、この歌稽古が始まってから1週間、ちょっとサボってますよね。それどころじゃなくて。

井上芳雄:それくらいでちょうど良い!いいと思います。

──プリンスって言われていて、お互いを見てプリンスっぽいなと思うところは?

井上芳雄
見た目はもちろんですが、キャラクター的にもそうだと思うんですけど、スロースターターだからかもしれないですけど、最初からウェルカムで「イェイ!」という感じでは全然ないんです。「あ、どうも…」っていう感じで。でもちょっとずつ心を開いてくれて、そこに「あぁ、俺に心を開いていってくれている」というのにキュンとする感じというか(笑)。ちょっとずつね「ツンデレ」とは言わないけど(笑)。僕も人見知りではあるので、いきなり来られるよりも、このちょっとずつ開くという感じがたまらない。

堂本光一:芳雄君はこうしては立っているだけでね、もう。この身長差ですから。嫌になっちゃうくらい(笑)

井上芳雄:関係ないじゃない、王子とね(笑)。

堂本光一
声も素晴らしいし。素晴らしいことだらけじゃない。だからちょっと腹黒い部分だけは共有しながら(笑)。でも役としてもどっちが腹黒いのか?って感じだよね?

井上芳雄:そうそう、友情で本当に愛し合っているかと思った次の瞬間には「お前を殺してやる!」みたいな。すごい情緒不安定ですよね(爆笑)。命を懸けるわけですからね(笑)

堂本光一:音月さんがそうさせるんだよね。

井上芳雄:どっちが抜け出るか?という腹黒さもあると思います。

──いつものジャニーズの皆さんとではなく、これだけの顔触れと共演することについては?

堂本光一:まだ始まったばかりですけど、皆さんから受けるエネルギーがすごく勉強になります。本当に日々勉強だと思っています。

──では最後にお2人から皆さんへメッセージをお願いします。お2人で息の合ったところを。

堂本光一:「ナイツ・テイル」いよいよ始動します。芳雄君は明日から初稽古?

井上芳雄:そう、僕は明日から始動します!

堂本光一:1週間くらいフライングしてます。

井上芳雄:そう、皆さんに遅れを取ってますが。あ、他の方もちょいちょい(笑)

堂本光一:本当にこうして始動したことが、まだどこか信じられないような気持ちがありますが。

井上芳雄:そうですね。

堂本光一:今まで夢見ていたことが少しずつ形になっていくのを楽しみながら、本番へ…7月の、いつ?

井上芳雄:7月27日!

堂本光一:皆でそこに向かって、日本初演…

井上芳雄:世界初演ね。もう、このしどろもどろになっている感じから、皆さん色々と察して頂ければ!(笑)

堂本光一:どうぞ皆さん、楽しみにしていて下さい!

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