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■ミュージカル『十二国記 ‐月の影 影の海‐』製作発表レポート

東宝_日生劇場_十二国記メインビジュアル_450

ミュージカル
『十二国記 ‐月の影 影の海‐』

INTRODUCTIONはじめに

シリーズ累計1300万部突破(2025年1月現在)の大人気小説シリーズが、
日本ミュージカル界を代表するクリエイターにより、
待望のミュージカル化!!

「十二国記」は、小野不由美による、大河ファンタジー小説。1991年に刊行された『魔性の子』から始まり、翌年刊行された『月の影 影の海』でシリーズ化され、以降30年以上にわたり、熱烈な支持を受けながら書き継がれています。2002年にはNHKにてアニメ化。2019年、18年ぶりとなる新作長編『白銀の墟 玄の月』が刊行された際には、社会現象ともいえる盛り上がりとなり、オリコン「2020年上半期本ランキング」1位を獲得しました。
世代を超え、愛され続けている日本のファンタジー小説を代表するビッグタイトルを、2025年12月、ついに世界で初めて舞台化することになりました。

「十二国記」は、我々が住む世界と、地球上には存在しない異世界とを舞台に繰り広げられる、壮大なファンタジー。我々が住む世界の陽子と、異界に連れ去られた後の陽子という1人の女子高生・中嶋陽子を、本ミュージカルでは2人の女優が演じます。
異界に連れ去られた後の中嶋陽子(ヨウコ)を演じるのは、2009年宝塚歌劇団95期生として入団し、2019年11月25日付で花組のトップスターに就任、2024年5⽉26日に宝塚歌劇団を惜しまれながら退団した柚香光。柚香は本作が東宝ミュージカル作品初主演。
我々が住む世界の陽子を演じるのは、2021年よりミュージカル『レ・ミゼラブル』でコゼット役を務め、可憐さとしなやかさ、力強さを併せ持つ実力派女優として目覚ましい活躍をみせる加藤梨里香。二人の女優の共演に、ご期待ください。
脚本・歌詞は、『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』の元吉庸泰、音楽は、映画『プリキュアオールスターズF』で楽曲制作を手掛けた深澤恵梨香。演出は、ミュージカル『ローマの休日』、『ダンス オブ ヴァンパイア』、舞台『キングダム』の山田和也が、壮大かつ奥深い人間ドラマを、ミュージカル化してお届けします。

Report製作発表レポート

東宝_十二国記_月の影影の海(下)-文庫フルオビ_600

 

柚香光(以下、柚香) このビジュアルのシーンは陽子が異国の広大な海に漂い不安と戸惑いを浮かべている表情だと思うんですけれども、「故郷に帰るんだ。そのために、絶対に生きて帰るんだ」という執着と強い意志を表現したいと思いまして撮影に挑みました。この大きなパネルにわたしの十二国記という作品の世界を改めて教えていただくような気持ちです。

加藤梨里香(以下、加藤) 本当にかっこいいです。このポーズぜひお家に帰ったらやってみてほしいんですけど、とても難しいです。この角度出来るんだ!っていう…。指まで再現されていて、本当に素敵なビジュアルで感動しています。

柚香さんへ。昨年の5月26日に宝塚歌劇団を惜しまれながら退団され、本作が東宝ミュージカル作品初主演となりますが、グランドミュージカルで座長を務めるにあたって、今どんな気持ちでしょうか。

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ヨウコ(中嶋陽子)役/柚香光

柚香 本当に光栄です。そして、正直に申し上げますとプレッシャーも感じておりまして、身の引き締まる思いでございます。キャスト・スタッフの皆さまと一緒に、原作ファンの皆さまにも初めてご覧になるという方にも楽しんでいただける作品を作るんだという意気込みで今は燃えております。

山田さんへ。世界初演ということで、演出プランと併せてアクションシーンなどの表現方法をお答えできる範囲で伺えますか。

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演出家/山田和也

山田和也(以下、山田) 我々が住んでいる世界ではないところに行ってしまうので、その架空の世界をどういう風にビジュアル化するか、というところが難易度の高いような気もしますが、今回は舞台なので。例えばこれを実写で映像・アニメにするのとはちょっと違うんじゃないかなと。ビジュアルが主体の映像・アニメーションでできることと生身の人間が毎日2公演ずつやる舞台は特性が違うので、舞台で十二国記をやるならどういう語り口にすれば舞台にする意味や価値があるか、ということを一生懸命考えながら今作っている最中です。なので演出プランと言っても壮大なことはなくて、何もなくてもここがそういう場所だと宣言してしまえば舞台はその場所になれるので、あまり大げさなことはしないです。でも陽子という等身大の高校生の女の子がたどる過酷な運命に、お客さまが感情移入していただけるようなミュージカルになればいいかなと思っています。
アクションは、これから太田さん牧島さんのふたりに委ねようとしています。

太田基裕(以下、太田) とりあえず鼠になるために日々トレーニングして。

牧島輝(以下、牧島) この役貰ってからは、街で見かける鼠が少しだけ愛おしく見えるようになりました。

太田 街中の鼠を見るたび親近感を抱いています(笑)言いたいところなんですが、本番始まってお客さまにこう表現するのかと思っていただきたいですし…どうなんですかね?

山田 これ隠しておいてハードル上がったらやばいんじゃないかな…柚香さんに聞いてください(笑)

柚香 私が実際に拝見して申し上げたいなと思うのが、楽俊のしっぽの動きが大好きです。本当に見事で、それが舞台上でお芝居を重ねていってどんな表情・表現になるのか楽しみです。

太田 皆さんまだわからないということは、僕が左腕を振り回してるのがしっぽって思うかもしれないってことですよね。想像力にお任せするという(笑)

柚香さん、加藤さんへ。原作の面白さはどこにあると思いますか。それぞれどんな気持ちで陽子を演じたいと思っていますか。

柚香 一読者として、まるで自分に問いかけられているかのような、何か問題にぶち当たった時自分の欠点に向かい合った時に「あなたはどうしますか」と問いかけられているような思いがありまして。すごい作品に出会わせていただいたなと一番最初に感じました。その中で陽子さんは、最初は色んなものに流されて女子高生という年齢相応の悩みを抱えながら異国に飛ばされ、試練にどう立ち向かっていくのかという彼女の向かい方から色んな事を教えていただくような気がいたしまして、尊敬する思いと共に自分はどうなんだと考えさせられるような、そんなありがたい作品だなと思っています。

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陽子(中嶋陽子)役/加藤梨里香

加藤 自分がどう生きていきたいのかを考えさせてくれる作品だなと。陽子も変化していって自分の人生を見つけていきますが、そこがすごく魅力ですし、ミュージカルになった時もその部分は大切にしていきたいなと思っています。私は日本にいる時の陽子を演じさせていただきますが、旅をしている途中にも度々出てきて柚香さんと対話をしていく役割なので、私の陽子は家に帰りたいという強い思いをずっと持ち続けることが大切なのかなと思い、そこを大切にお稽古に臨みたいなと思っています。

キャストの皆さまへ。現段階でお好きなシーンがあれば教えてください。

相葉裕樹(以下、相葉) 陽子とちぎりを交わすシーンです。世界が広がっていく感覚というか、そこからすべてが始まって十二国記が進んでいくので、とても印象深くて好きなシーンです。

牧島 聞きなれないワードがたくさん出てきて、それを理解していくたびにその世界に入っていく感覚がすごくありました。シーンというよりは没入感みたいなところなんですが、一緒に観ている方もその世界に入ったような感覚になれるんじゃないかなと思います。そういったワードや没入感が僕は好きです。

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楽俊役(Wキャスト)/太田基裕

太田 僕も好きなシーンというよりは、この世界観が好きです。情景描写や文字から浮かび上がってくる匂い、空気感がトータルして非常に独特で演じがいがありそうだなと思っています。闇のような描写が多くて、読めば読むほど追い込まれていくような感覚があるんですが、その闇が居心地よくなる瞬間、闇を揺蕩う感じが苦しくもありつつ居心地がいいという不思議な感覚を得たなと思っています。

加藤 楽俊の言葉がすごく好きなんですが、楽俊の考え方もそうですし、陽子と一緒に旅をして一度離れ離れになった後再会するシーンがすごく好きなんです!

柚香 加藤さんと一緒で、私も楽俊と再会するシーンが好きです。彼の姿を見たときの彼女の思いたることやら…読みながらどんな思いだったんだろうかと、色んな思いがこみ上げてくる好きなシーンです。

山田 ファンタジーや架空の世界が醍醐味の作品ですが、とても現実感のあるところがこの作品の魅力だと思います。リアルな世界だけど主人公はその世界の事を何ひとつ知らない、主人公も読者もその世界の事をひとつひとつ知っていって、知るほど不安になったり安心したり。観客や読者が主人公と同じ気持ちで最後までいくのがこの作品の素敵なところだと思っていて、舞台も極力そうなれたらいいなと思っています。ちなみに好きなシーンはあるんですが、下巻の後半に出てくるので言えません。(笑)

キャストの皆さまへ。非常に壮大な原作を舞台化するということで、山田さんの演出プランを伺った時の意気込みや、歌稽古や脚本をご覧になっての印象、好きな部分があったら教えてください。山田さんへ。こういう演出がありますと付け加えがあれば伺えますか。

山田 そんな大したものは出てこないんですが、モップと呼ばれるものがあります。モップって何?と思ったまま当日をお待ちいただければなと。あとは、ミュージカルの製作発表なのに今日は誰も歌わないんですよね、曲が出来ていないわけではないんですが。本当は歌ってほしいんだけど…今日は歌いません。

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楽俊役(Wキャスト)/牧島輝

牧島 山田さんもおっしゃっていましたが、演劇ですから観に来てくださるお客さまの想像力も大事というか、一緒にこの世界を楽しめばより良いものができると思っています。そこに何かがある、ここはこの場所だと言えば、それはその場所なんですよね。きっとこの壮大な世界ですから、とにかく大きなものを動かさないといけない瞬間もありますけど、ひとつ想像してもらえるとより世界を楽しめる瞬間があると思います。
照明や音楽も素晴らしいスタッフさんが集まってくださっていて、どんなプランで照明が作られていくのか、どんなタイミングで音楽が入るのか、出演側からしても楽しみにしているので、楽しみながら作っていきたいです。

太田 お客さまに想像していただくにはこちらが想像力豊かに、想像力を突き動かすようなアプローチをしていかなきゃいけないなと思いますので、僕自身は楽俊としてどういう風に十二国記の世界を自分の中で膨らませてお客さまの想像力を刺激できるか、そういうことを追求しながら頑張っていきたいなと思っています。

柚香 山田さんから伺った演劇プランの中で、モップって先程おっしゃっていましたが、私もモップってなんだ?と思ったんですね。全然想像ができなかったんですが、リハーサルを拝見したら、飲み込まれるというか、同じ舞台なのにモップの移動によって空間の感じ方が変わってくる要素があったりして、すごい効果をきっと発揮するんじゃないかなと思いますので期待していただきたいです。映像も、とても迫力のあるものを皆さまにお楽しみいただけると思います。また、壮大なミュージカルですので、素晴らしい音楽で次から次へと展開されていきますので、楽曲もぜひ皆さまに楽しんでいただきたいなと思います。そして、宝塚歌劇に培ってきた刀を振り回させていただくということで、一体どのように戦っていくのかというのを楽しんでいただければいいなと思っています。

加藤 演出プランを伺ったときに、モップであったり、すでに他の場所を借りて検証してくださっているのを拝見して、こうして新作の準備が進められていくんだ、こんなにも大きなプロジェクトに携わらせてもらっているんだというのを実感して、皆さまの愛をしっかりと舞台上からお伝えしなければいけないなと思いました。中々ひとりの人物がデュエットすることはないと思いますが、心の中の会話でデュエットできたり、陽子が様々な苦難に立ち向かっていく時にミュージカルだからこそできる表現があるのかなと思っていて、その音楽を楽しみにしていただきたいです。

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景麒役/相葉裕樹

相葉 皆さんがおっしゃっていた通り、山田さんが書かれた演出プランにモップが登場するんですが、何のことか本当にわからなかったんです。演出プランの検証動画を観させていただいて、こんなことになるのか!と。僕は正直こういう使い方を見るのは生まれて初めてで、多分お客さまも見たことない幻想的な世界に舞台美術、音楽、衣装、僕たちの演技や歌唱が合わさってこの十二国記という世界がさらに膨らんで皆さまの元に届けられるんだろうなとすごくワクワクしました。恐らくモップが一番舞台上に出ています。モップが主役かと思うくらい出ています(笑)今は何のことかわからないと思いますが、本番観た時「あ、この事ね!」と楽しみに待っていただけたらと思います。

今回4カ所で上演されますが、地方公演で楽しみにしていることを伺えますでしょうか。

牧島 ご飯です(笑)僕はWキャストなので皆さんより時間に余裕があるというか。

太田 美味しいものたくさんありますから。楽しみですけど、緊張感を持っていないとぶくぶくした楽俊になっちゃうので気を付けないと(笑)
それぞれの劇場でその土地のお客さまにお会いできるのは嬉しいですし、様々な方に見ていただけるような楽しい作品になると思いますので来てくださるといいなと思います。

相葉 もちろん食べ物もそうですが、なかなか東京まで来られない方もいらっしゃると思いますので、そういった方々に新たな演劇体験を届けられるのは嬉しいです。ぜひたくさんの方に観ていただき感動していただけたらと思います。

加藤 劇場が変わると作品の空気感も変わるのでそこも楽しみです。Wキャストじゃないのでお休みがないのですが…(笑)

牧島・太田 ご飯とか言ってすみません(笑)

加藤 自然を楽しんだりするのも好きなので、そこが楽しみです。

柚香 劇場が変わると同じ作品であっても空気の濃縮の仕方であったり密度の感じ方、お客さまの距離感、雰囲気の違いがたくさんありますので、色んな劇場で上演させていただけるのはとても楽しみだなと思っています。そして何よりその土地のお客さまのお目にかかれるということがすごく楽しみで、皆さまに観に来て良かったと思っていただける作品をお届けしたいという気持ちがあります。お食事ももちろん楽しみですけれども、陽子さんはお食事が取れなくて大変な中戦いながら頑張っているので、今回はお客さまとの出会いや作品作りに邁進していきたいなと思っています。

山田 水炊き、ねぎ焼き、ひつまぶしです。(笑)

東宝_十二国記_製作発表_牧島・太田・柚香・加藤_600

世界中にファンのいる作品ですが、世界初演に対しての意気込みを伺えますか。

柚香 素晴らしい作品の初演をさせていただくということがとても光栄で、身の引き締まる思いでございます。何より原作の中嶋陽子さんという方がどういう方なのか、ということを追求して深めて役作りをしていきたいなと思います。原作ファンの皆さまに、これが観たかった、出会えて良かったと心から思っていただけるように敬意を持って誠実に、そして原作を胸に作品に向かいたいと思っています。皆さまの心に届くような舞台にしたいです。

加藤 世界初演ということで、このカンパニーの皆さまと共に演劇を作っていくという作業が今から楽しみです。絶対大変なことはたくさんあると思いますが、今まで色々な演出プランや準備していることを制作人の皆さまからお聞きして、本当に十二国記という作品を愛している方々がたくさん私たちの後ろにいらっしゃって、そんな方々とご一緒できるのがとても心強いです。皆さまの力をお借りしながら頑張りたいなと思っています。

太田 世界初演と言われると気負ってしまいますね。初演で立ち上げみたいなことになると思いますので、紆余曲折非常に苦しいこともいっぱいあるような気はしていますが、どんな時でも自分自身と向き合いながら前に進もうと頑張る陽子を想像しながら、僕自身も頑張っていけたらいいなと思っております。

牧島 誠実に責任を持って作っていきたいともちろん思っていますし、僕は演劇は楽しいものだと思っているので、とにかく皆さんと楽しく創作できればなと思っております。世界初演ということですから、誰かに習うというわけではなく原作にリスペクトを思って、役者側からもどんどんアイデアを出しながら全員がクリエイティブになれば良い作品ができていくと思うので、とにかく楽しんで作っていきたいと思います。

相葉 長く愛されている作品でございますので、まずは読者のファンの方々に納得していただけるような作品でしたり、景麒という役をいただいて、「あ、景麒だな」と思っていただけるような説得力のある演技を届けられるようにがんばります。世界初演ということですので、新たな試みも今回の舞台で試して作っていくと思うんですね。なので、牧島くんがおっしゃったように皆でアイデアを出しながら試行錯誤しながら、十二国記という世界観を全員で表現して皆さまに届けられたらなと思っています。

山田 世界初演ということは紛れもない事実なので否定はしませんが、再演・続編がなければ世界初演と威張ったところであまり意味がないというか。まずは地方公演色々なところに行きますが、上手くいけば原作はたくさんのお話があるので、第2弾・第3弾と、多分後30年くらいはこの作品に関わることになるから頑張ってね(笑)

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左から:山田和也(演出)、牧島輝、太田基裕、柚香光、加藤梨里香、相葉裕樹(敬称略)

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